窓枠屋さん/はるな
ことも、開くことも無くなってしまって、あとどれがわたしであるか、といったら、やはりこのからだから出ることができないでいるぐずぐずしかないのだ。
出ていかなければならないと思っていた。つねに遠くへ行きたがっていなければ本当ではない。わたしたちは、わたしたち以外にならなければならない。ぎりぎりではなくて、もっとずっと違うところを思うべきだ。まだわたしは逃げている。そして、
濡れた影をまたいであのひとはやってくる。何を言うだろうか、何も言わないだろうか。あのひとのかたちで世界はやってくる。わたしは、何を思うだろうか。
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