序曲/葉leaf
 
るのである。

組織は数限りない意味の旋律でできた一つの調和体であり、サラリーマンには一区画ずつ意味が割り当てられていくが、もちろんこの意味は輪郭があいまいであり、他の意味と静かに重なり合っている。サラリーマンは一人一人個性的な意味を担っている。ジャズが好きとかパソコンが得意とか前はこんな課に所属していたとか。だが、組織によって割り当てられた意味を充当するため、一人一人はそれぞれに自らの意味を拡張していき、サラリーマン個人の意味が組織の意味よりも豊かになったとき初めて仕事は完遂される。この建物は一つの大きな辞書であり、サラリーマンはいくつかの項目をまたぎながらその与えられた項目の意味を流麗に書
[次のページ]
戻る   Point(1)