序曲/葉leaf
 
に書き込んでいくのである。

サラリーマンは他人とのコミュニケーションを完璧に行うことはできず、その不備を笑顔や態度で補っている。コミュニケーションの不完全さは澱のように溜まっていきサラリーマンはその澱を様々な薬品で溶かしていく。だがサラリーマンは仕事を愛し、組織を愛し、建物を愛している。仕事は常に新しく予想外の刺激でサラリーマンを楽しませ、達成の快楽や困難の克服の満足感を伴う。仕事は常に新しい知識やスキルを働きながら獲得することであり、その動的で責任の伴う発達には中毒性がある。何よりも、サラリーマンは仕事に己の社会的生存をかけており、つまりは仕事に社会的な命を懸けているのであり、仕事は命がけのスリルに満ちた賭けなのである。

かつて人は自然を愛した。かつて人は家族を愛した。かつてひとは恋人を愛した。そして沢山の歌がそう言った愛を歌った。現在、人は仕事を愛している。かつて人が愛するものを歌ったように、人は仕事への愛を歌い上げるだろうし、この歌はその序曲となるものである。

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