序曲/葉leaf
 
ったともしれない慣習や手続き、人々の勤務だけでは説明のつかない出来事によって建物はひそかに語られうるのである。

サラリーマンは建物の一隅に花のように活けられる。デスクの並びは品評会での鉢植えの並びさながらに美的に構成され、だがもちろん人々は行儀よく並んでは居ず、活けられた植物は移動に移動を重ね、交渉に交渉を重ねるのである。サラリーマンの仕事に終結というものは存在しない。世界の果てまでやって来たと思ったら、そこからまったく異なる世界が始まり、最高峰にまで達したと思ったら新しくさらに高い頂上への山頂が開ける、そんな風にして仕事は常にサラリーマンを裏切り、サラリーマンに地図のない沃野を示し続けるの
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