ルーシー・ダウト/佐久間 肇
 
角の頂点をくるくる回りながら、輝かせる言葉の鍵。
鍵の束をじゃらじゃらさせて、「あたしはたくさん持っている」と言う。
自分自身だった小鳥の躯が、小さな息を引き取ろうとするまで、
あの子はけらけら笑いながら。

少女にもなれなくて、困ってしまったあの子。
残酷さにも芽生えることができなくて、幼い自慰は罪悪にもなれない。
カーテンの裏に隠れた自意識を果敢に刺激して、
夕日が落ちる前に昇りきらなければならないと思っていた。
だからあの子は、夕日が落ちるたびに、狂ってしまった。

誰にも指摘されない、あの子、は。
ここからここまでの、という合図が知らせてくれる公園を知らない。

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