呼吸には狭間がある/ホロウ・シカエルボク
に提示する、その示唆を感じ取ることが、意識的であるかどうかの基準だ、それは不可欠なものだが決して形式ばった範疇のものではない、どちらかといえばそれは本能のようなもの、原始的な鼓動の自覚であり、理性とは程遠い感覚の火種だ…そこに法則を見出してはいけない、かくあるべし、と定められた物事は必ず、輪郭を残して滅びてゆく、輪郭の内側でいつの間にか腐敗して、崩れて消えていく、気付いたときには思考の腹腔はがらんどうで、壁に張られたスローガンが剥がれそうになってはためいているだけだ―地理すら巻き上げることのない穏やかな風に
一本の細糸を千切ることなく、絡み合った物置から少しずつ引き摺り出していかなければ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)