火の河の畔で/まーつん
水の流れに飛び込んで
焼け死んでいった
無数の命を
焼夷弾の油が
川面を覆って燃え上がり
夜を紅く染めた光を
お前は
見たのか
天野原を流れていく
死者の魂が
砕け放つ光を
浮かれ騒いだ夜祭の
手持無沙汰な帰り道
奇妙に空虚な
気分で見上げた
星空を焼く火の河から
ぽたりと、一粒
僕の手元へ
滾る滴が落ちてきた
無限の空間を
かすめてきたのに
ちっとも、冷めていない
その
猛々しい熱で
掌の皮膚を食い破り
内側へと潜り込んでいく
一粒の
[次のページ]
戻る 編 削 Point(8)