トーキョー/智鶴
気怠さを含んだ雨の煙る夜に
朧な眠気と僅かな湿度が
ゆっくりと瞼に幕を下ろそうとしていた
天秤に掛けられた片方の
僕の心臓が固く冷たい鉄に変わる夢を見ていた
錆の軋む音がして
少し寒いことに気付く
真夜中
何処からか遠雷が聞こえる
日が昇れば鮮やかに
灯が燈れば淑やかに
そんな当たり前の理なんて
始めから無かったみたいに彩られた夜だ
巨大な石の化け物に怯えながら
日毎増していく寂寥を持て余す
それが寄り集まって、こんなにも
こんなにも全てを作り上げてしまったんだ
石像みたいに美しい顔をしている
まるで誰かに作られたみたいに
個性の上から嘘と見栄を塗
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