陽子のベクトルは太郎を指向するのか/草野大悟2
 
る水を岩肌から直接ゴクゴク飲む。他の三人は、ゴクッと喉を鳴らす。
「大丈夫だ、心配ない」
「そんな早く判るなんて、信じらんない。もう少し様子見ましょうリーダー」
(こいつ、俺をモルモット代わりにしてるし・・・)
 我慢すること十分、リーダーに異常がないことを確認した太郎は、リーダーをはねのけ、その流水にむさぼりついた。
 はねのけられたリーダーは、危うく岩壁から滑り落ちそうになり、真っ青になって必死に岩にしがみついていた。
「んー、も、最高。なんか苔の味がして、自然満喫って感じ」
「北、お前飲めよ」
「ええ、場所代わって下さい」
「は?」
「ですから、宇田さんのいる所、僕と代わ
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