陽子のベクトルは太郎を指向するのか/草野大悟2
た第二高点の岩壁が圧倒的な威圧感を持ってそそり立ち、不気味な感じさえする。
八月四日 晴れ後雨
昨夜からの水制限で、全員、喉カラカラ状態。ガレ場を登り切ると、第二高点に着く。赤錆た鉄剣が一本突き刺さっている。
大ギャップからのルンゼをトラバースするとき、岩肌を伝う水を発見。
「リ、リーダー、水っす、水」
「判っている」
「リーダーは、リードする人、ですよね」
「そうだ」
「俺と北は、新入部員ですよね」
「そうだ」
(こんなときだけ、リーダーリーダー言いやがって、こいつ何か企んでるな)
そう思ったリーダーであったが、喉の乾きと太郎の巧みな誘導のせいで、チョロチョロ流れる水
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