陽子のベクトルは太郎を指向するのか/草野大悟2
 
に、雨が降りだした。
 『ああ、無情!』ってこんなシチュエーションを言うんだろな、きっと。
 北のことはさっさと忘れて、雨の心配を始めた太郎は、
 (このまま降りつづけば、明日は沈殿確実だな。休みじゃ、休みじゃ。ウヒヒヒヒ)
一人、お休みモードに入り、ウキウキ、イキイキ。
 その隣で、北は、ビチビチ、ションボリ。
 太郎の願いが天に通じたのか、翌七月二九日は朝から土砂降り。沈殿。
 しかし、四人がゴロゴロしているテントには、上から下から雨水が染み込んできて、快適な休息とはとてもいえない状態になっていた。太郎を除いて。太郎は、雨水など全く気にするそぶりも見せず、大イビキをかいてひた
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