陽子のベクトルは太郎を指向するのか/草野大悟2
 
もうっ! って、北君キャワイーイ」
七月二一日から七月二七日の間は、雨やガスとの闘いで、それでもなんとか聖岳、兎岳、赤石岳を踏破し、三伏峠まで辿り着く。
七月二八日 雨
 午前五時一五分発、九時三○分塩見岳着。山頂は、三六○度の展望が開けているはずだ。遠くに日本一のお山富士山が見える、はずだ、たぶん。
 (どうも富士山って山、好きになれねぇんだよな、俺って一番、俺ってグレイトって言ってるみたいで。そのくせ、エベレストなんかの前じゃ、へいへいあっしは、あなた様にはかないません、どうせ、田舎者ですから、へへへ・・・、そう媚びを売っているみたいで、今日は見えなくてよかった)
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