陽子のベクトルは太郎を指向するのか/草野大悟2
陽子らしくないかなぁ、なんて」
「かなぁ、って何なのよ、太郎。だいたいあんたにあたしの何が判るっていうのよ! あんたなんかに判られてたまるもんですか!」
「よ、陽子、落ち着け、冷静になれ、どうどうどう」
「あたしは、馬じゃないよ、バカ! あんたなんか大嫌い!」
出た、必殺「大嫌い!」。
あーっ、これは相当にやばい展開になってきている。これは荒れる。しかも、かなり、大荒れする。
気象庁の予報官よろしく想像を膨らませていた太郎の目の前に、突然、陽子の顔がぬうっ、と近づいてきた。大きな目に涙が一杯たまっている。太郎はあせった。大いにあせった。これまでにないピチッピチのショートパンツ、
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