陽子のベクトルは太郎を指向するのか/草野大悟2
の悪い灰色の脳細胞が働き始めてしばらくしたとき、ピンポン、と音がして、その正体が明らかになった。
そうだ、あのときだ。「裸のマハ」に会いに京都市美術館に行ったとき「カツサンド&ビールパワー」に「日本酒一合パワー」が加担して、超がつくくらいパワーアップした陽子が荒れ狂ったのだ。そうだ、今日の陽子は、あのときのムスッとした顔と同じ顔をしている。と、いうことは・・・と、いうことは・・・ということだ。
何だか判ったような判らないような、「と、いうことだ」。
「よ、陽子、あ、あんまり飲まない方が・・・」
「なーに? まだビール、グラス半分しか飲んでないじゃん」
「で、でもさ、今日、ショートパン
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