陽子のベクトルは太郎を指向するのか/草野大悟2
ても「丘」、といった方がしっくりくる「花丘山」だった。
その途中には、多くのラブホテルが立ち並んでいることを熟知していた太郎は、あらぬ期待に胸を膨らませて、前を歩く陽子のラブリーなヒップとビューティホーな太股をひたすら見つめながらとっとと後をついていった。
陽子、ひょっとして、ラブホに入るのか?
太郎の期待は大きく膨らみ続け、歩行に若干の困難を伴うようになっていた。
歩くこと三十分、ラブホをあっさり素通りし、大きく膨らんだ期待が、ぷしゅー、という音とともに急速に萎んでしまったその時、二人は頂上に着いた。
そこには夏の強烈な陽射しを受けた仏舎利塔が白く、厳かに輝いて、太郎のヨコ
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