陽子のベクトルは太郎を指向するのか/草野大悟2
ゥクゥ小さな寝息をたてて眠り込んでしまった。 (そんなぁ・・・)太郎はここでもただただ陽子の寝顔を眺めるだけで、とても彼女のヌードをデッサンする状況にはないことを認めざるを得なかった。
「オッハヨ! 太郎。朝だよ!」
翌朝午前七時、寝込んでいた太郎に超明るく声をかけた陽子は、テーブルの上のビール瓶と徳利を見て「あーあ、太郎こんな飲んで、モゥ」そう真顔で言った。
三月八日
前日熟睡したおかげで元気を取り戻した二人は、鈍行列車の人となってノロノロと鳥取に向かっていた。もちろん、あの有
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