陽子のベクトルは太郎を指向するのか/草野大悟2
 
、早くホテル行こう」
「そうね。でも、何か食べていこうよ。なんかお腹空いちゃった。」
「う、うん」
 仕方なく同意した太郎を尻目に、陽子はメニューを手に取り「すみませーん、ビーフシチューセット下さい」そう注文した。
「じゃ俺も同じで。それとビール」
「あっ、あたしもビール下さい」
 ビーフシチューセットがくるまで、陽子は楽しそうに喋り続けていた。そして、運ばれてきたビーフシチューをゆっくりと食べながら一杯目のビールを一気に空けた。
 太郎はひたすらビーフシチューを食い、ビールをちびちび飲みながら、頭の中で、これからホテルに行った後の行動を、大胆かつ独善的にシュミレートしていた。

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