陽子のベクトルは太郎を指向するのか/草野大悟2
 
して太陽の匂いを一杯纏わせ・・・そして、そして、ムフフ・・・と全身ムフフ状態に陥っていた。
 陽子のおかげで一年間一度も掃除などされなかった太郎の部屋は、見違えるようにきれいに・・・はならなかったが、どうにか人が生息できる程度の環境だけは整ったのだった。
 この頃になると、あれ程毎日毎日賑やかに叫んでいた「われわれワァ〜」達もどこかへ消えてしまい、「ナ〜ンセンス」な黒ずくめの女たちも、「お前たちの顔が、ナ〜ンセンスなんだよ」と皆の前でノンポリ学生から鋭く言い放たれたのを最後に、キャンパスから消えていった。

 守田太郎様
 八月九日、K駅に午後二時着の南斗三号で行きます。よろしく!

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