まなざしのこと/はるな
 
会いに驚いては全身をはねさせて喜んでいる。
あの子たちのいつもかぎりなく清潔なまなざし。

わたしはといえば、里帰りからもどってきてから何度も似たような夢―かつての恋人が登場し、わたしを喜ばせる―をみる。眠っているときだけでなくて、洗濯ものを干しているとき、冷蔵庫の扉を開けるとき、窓用の洗剤をふきつけるためのレバーを引いたとき。一瞬ずつ、夢は、いつもわたしを絶望させる。彼も不思議に清潔なひとみをして、わたしたちを見た(わたしたちというのは、それは彼には恋人がたくさんいたから)。あのひとみが、彼の娘にも向けられるのだとしたら、それはたいそう残酷で愛しい間違いだ。
花は、もしかして、いつかわた
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