まなざしのこと/はるな
 
わたしを恨むかしら。わたし自身が、生きていることの無意味さを唱えながら花を産んだことを。それでも生きていることは、(すべては)、限りなく無意味だから尊いと、教えようとすることを。花はいつ、わたしを恨みはじめるだろうか。(わたしが世界にそうしたように。)

こんなところまで来たよ、と、花に(もしくは宝籤に)話しかけるとき、十六のわたしは薄く引き伸ばされて天井に張り付いている。死のうと決めていた、それだけが重要で必然だった。それから十年経ち、わたしはずっとここにいて、でも景色はめまぐるしくかわった。男の子たちがやって来て去っていき、女の子たちは笑ったり泣いたりして女の人になってしまった。夫がやって来て、わたしを抱き、そうこうするうちにあのかわいい宝籤が両親のもとに訪れ、しばらくしてわたしは花を産んだ。
こんなところまで来たよ、と、途方に暮れて花に話しかけるとき、清潔なまなざしはまんべんなく濡れている。花は退屈そうに口を開いて閉じて、手足をばたばたさせます。


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