詩と詩人と似非批評/ただのみきや
 
となのだろう

さて
血統書付きの犬にも雑種の犬にも蚤が住んでいたが
血統書付きの犬に住んでいる方が自慢を始め もう一方に
「雑種なんかの血を吸うのはやめときな」
正しいか間違っているかはさておいて
指でつまんで潰してやった
さぞやドロっとした血が出るのだろうと思いきや
蚤は渇いてカスカスだった
どうやら咀嚼力不足で
表面を舐めただけで吸ったかぶりをしていたようだ
きっと赤ん坊のように
目を瞑って力いっぱい乳を吸うような
渇いてはまた欲し
満ち足りては夢見心地で微睡むような
そんな幸福を体験する前に
添付しすぎたのだろう
知識は頭に蓄えるもの
知識を用いるのは
[次のページ]
戻る   Point(21)