「おかえりなさい」/るるりら
 
ない
眼前の天から降るモノに心奪われ、明日ある限り上に行く
足元でジジと油蝉が、のた打ち回っていたが 彼も空を飛んだ

「子捨て岩」と書かれた札の先にある崖に さしかかった
幼子達が 崖の下方から わらわら湧いていて
ここいらの過去の惨状を 初めて知った
崖の西の一部が 狭く開いていて 水が滝壺に向かって落ちている

滝に近づくと水音がだんだん大きく聞こえてきた
足の真下で滝の音がした。しらうおたちも滝へ
しらとり隊のみなさんも滝へ亡者のみなさんも
迷いのない様子で 滝の飛沫の中へ消えてゆく

わたしの背中を叩く人が居たので 振り向くと
この間
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