「おかえりなさい」/るるりら
 
の間、葬儀をおえたばかりの 弟だった
「おさきに」と言って たかしくんも滝へ 
しらうおの魚群も
滝へ   滝へ  滝へ  滝へ滝へ滝へ滝へ滝へ

わたしの足先がぐらついて 私も滝の豪音へ
滝の中に居ると 轟音は微かに 感じられた
遠くで音の揺らぎを感じる体が芯まで冷たい
体をゆさぶると鰭があった わたしは魚なの?

滝壺の近くを 泳ぎまわった。胸鰭を ひらひら
尾鰭を強く降ると 底深くもぐりこんだ。川蟹を
つついてみたり 苔の間で佇んだり しばらく
尾鰭のある身体を確かめて やがて からだを

ゆっくりと大きくしならせて 滝壺に向かった
滝壺の奥にいくほど しだいに青が深まり
経験したことないほど頭がさえ 血の巡りが理解できる 
この青の深さは濃紺の先に つづく     ここは宇宙

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