さよなら、お母さん。/永乃ゆち
 


その男も。
母がスナックに働きに行っている間
毎晩わたしを殴った。
顔を殴ると、母にばれてしまうので
お腹や背中、腕や足などを
殴られたり蹴られたりして
まだ小さかったわたしは
勢いで吹き飛ぶほどだった。

今になって思うのは
その男がとても冷静に
わたしを殴っていたと言うこと。
そしてそれはしてはいけないことと
きちんと認識していたこと。
カッとなって衝動的に殴る方が
まだましだと思った。


毎日。母からも男からも殴られ
早く殺してくれと思っていた。
早く死にたいと思っていた。


それでも、母に男の暴力を言い出せなかったのは
母が、やっ
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