指輪と石/まーつん
 
、互いに拮抗しながら
 一つの円の内側を満たしている

 春、輝く命が生まれ
 晩冬の闇に、ひっそりと
 息を引き取る

 円を結ぶ
 生と死の循環は
 神の指に嵌める指輪のように
 美しい理となって
 万物の在りようを飾る

 その小さな指輪を、
 卓上に立て、縁の部分を
 コン、と弾く

 すると
 くるくる回る輪の残像が、
 夏の陽射しに煌き
 球面を描く

 やがて
 回転がやんだ時
 それは、蒼い星に
 姿を変えている

 星は転がる
 運命に押されて

 私たちが
 転がしている

 石を蹴る
 子供のように

 
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