空白の館/アラガイs
 
えは「時計」ですか?」確信が無い反面はっきりとはわからなかった。「いえ、違うと思います」「時計ではないのですね?」「では壁ですか?」 「壁ではないと思います」 これも否定した。「では、鉛筆ですか?」そうだ、どれもこれもが関連はないようで実は在るのだ。その関連を考えていた。「鉛筆では無いと思います…」そうだ、考えてみればそもそもこの3つを覚える気などわたしにははじめから無かったのかも知れない。
「 机、時計、鏡、」 この3つの事物を記憶の内に留めなければならないとすれば、それは今わたしがあなたの前で質問されているいう事実だけなのだ。
走ることを宿命付けられた競争馬は強要されその目的の為だけに夢
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