空白の館/アラガイs
師のその笑顔は何を指しているのだろうか、何を。焦って考えれば考えるほど指先から神経は遠退いていった。
「…ちょっと緊張してしいまして…」などと言い訳をしているうちに 「では、わたしの先ほど言った単語を3つ思い出して言ってみてください」 思わぬタイミングで突然聞かれた。
「机」「…」「鏡」 空洞の奥で迷い込んだようにひとつが出てこない。わからない。机、鏡、それらから導き出される関連が思い出せない。物事には何らかの関係性があるはずだ。しかし、呆然とわたしは考えたが思い出せなかった。
水槽の中焦れば焦るほど魚たちは酸素を吐き出し、思い出の歴史は宙を廻り出すのだ。
「2つは正解です。では答えは
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