ナニカ/草野大悟2
 
んだ!」
 校長は、ほとんど叫びに近い声を上げた。
「開けて貰えなければ、鍵屋を呼んで開けさせるか、無理矢理こじ開けるかになりますがいいんですかそれで?」
 校長の額に脂汗が浮かんでいる。
 長い沈黙の後、憑物が落ちたようにがっくりと肩を落とした校長は、
「分かりました。い、今開けますから」
 机の引き出しから鍵を取り出し、金庫の扉を開けた。
 中には『極秘』と朱書きされた書類一葉と、『荒木小学校におけるいわゆるいじめの発生について』という学校から市教育委員会に宛てた分厚い報告書一冊が入っていた。
 市教育長と県教育長との連名で小学校長宛に発出されたその機密文書には、
『貴校から
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