潜る/凍月
 
で見える頭は触れる事が出来るしかし心は決して見えない当たり前なのか自分の顔はこの目で直接見れないもの光が鏡に辿り着くまでに鏡から眼球に吸い込まれるまでに空間に溶けて変貌を遂げて逆向きに進む時計氷塊の融解と固定流動した心も今では硬い漂流した過去は何処に行く漂着した木切れを拾い上げ白い砂浜に放り投げ何処とも知れぬ砂漠を歩む歩き疲れ捜し疲れ赤い太陽の血に浸かり青い湖に身を浸し暗い廃墟に身を隠し腐った死体に魂を宿す直視出来ないくらいに滅びた自分がガラスの破片から嘲るように笑う天井から垂れる縄の輪足元に転がる鉈薬の入った瓶手段は知っている道具は揃っている恐怖だけが支配している黒い血反吐黒い心黒い空間黒い本ペ
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