マジックの種は天国の片隅に/ホロウ・シカエルボク
ちろんそんな認識の中には希望的観測というやつがナポリタンの上の粉チーズみたいにどっぷりとかかってはいるけれど
今年初めて耳にした蝉の声が小さくなっていくのと一緒に霞んで消えてしまいそうな嘘事じみた自分自身を余所事のように見つめている一日、心許ないものばかりが信じるに値するのだ、ねぇ、あれは本当のこと、あの蝉の鳴声は果たして本当のこと?教えてくれそうな見知らぬ誰かにそう尋ねることが出来たらどんなに気が楽だろう、すべては不確かなありのままで目の前を通り過ぎて行った、車の流れが途切れた僅かな時間に消えて行く雨を嗅いだ、思いもしなかった雨に濡れていた身体にはまだ降り続けていた、そんなあれこれが流れて行く
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