マジックの種は天国の片隅に/ホロウ・シカエルボク
行くのを眺めながらふと明方に見た夢のことを思い出す、不思議なほどに色の無い日常の中を生きていた、ああ、色、あの夢の中にあるはずだった色はいまどんな断層の中を彷徨っているのだろうか?それはあまり愉快な空想ではなかった、たとえそれが誰を傷つけるものでもなかったとしても
シアターの前で立ち止まって、上映中のポスターを長いこと眺めてみた、ポリス・アクション、ヒューマン・ドラマ、ゴースト・パニック、アニメーション…この中に例えばひとつくらい、絵に描いたようなマジックを秘めたものがあるだろうか?きっとそれはないだろうという気がした、映画がどうのこうのなんて講釈を垂れるつもりはまるでない、映画がどうのというよ
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