小屋/草野大悟2
た。それから、彼女は、月に二、三度は小屋に来るようになった。ウサギたちに食べさせる餌を持ってね。ところが、夏休みのある日、ウサギたちが殺されたんだ。一番小さいのを除いてね。小屋のカギが開けっ放しになっていて、そこから野良犬が入ってウサギをかみ殺したんだろう、ということになったけれど、詳しいことはとうとう分からずじまいだった。陽子は、新体操をしていてとても可愛かった。成績もスタイルも抜群に良かったから、学校中の男子が憧れていた。タチワナ、君は、ほんとうに、陽子そっくりだよ」
「ウリ、フタツ?」
そういって、じっと僕を見つめる。
陽子とタチワナがひとつになる。あのころは、子どもだった。今、
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