小屋/草野大悟2
 
「そう、佐藤陽子」
「僕は、子供のころからずっと友だちがいなくて、いつも一人だったんだ。けどね、中学のころ、僕は生物クラブに入っててね、あっ、分かるかな、生物クラブって?。動物や植物を飼ったり育てたりする集まり、というと分かる?」
タチワナは、う〜ん、といいながら小首をかしげている。そんな仕草も陽子そっくりだ。
「でね、そのクラブで僕はウサギの係だった。小さな小屋で、五羽のウサギの世話をしてた。そんなときに、佐藤陽子が、ウサギ見せてくれる? って僕に頼んできたんだ。で、僕はもちろん喜んで彼女を小屋に案内したよ。彼女は、人参やセロリを持ってきていて、楽しそうにそれをウサギに食べさせていた。
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