小屋/草野大悟2
 
初めて目を留めて不思議そうに首をかしげ、僕にこう訊ねた。
「中村さん、これ、わたし?」
「いいや、それは、タチワナじゃないよ」
「ふう〜ん。わたしにそっくり」
「そう、日本語で、うりふたつ、っていうんだよ」
「ウリ、フタツ?」
「そう、うりふたつ」
「だぁーれ、これ」
 僕の中で、陽子のことを話したい、という気持ちが大きく膨らんでいった。
 写真を見つめているタチワナが陽子そのものに思え、陽子本人に、自分の気持ちを素直に告白するつもりでいった。
「十三のころからずっと好きだったんだよ」
「名前なんていう?」
「名前はね、佐藤陽子っていうんだ」
「さとうようこ……」
「そ
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