散文 【 印象的なモノクロームの世界 】/泡沫恋歌
 
ラテストかと思うほどに、何度も何度も繰り返し見せられる。
それは天井から吊るした人形にサーベルで突き刺す仮面の男だったり、テーブルからゆっくり落ちる壷と飛び散るミルクなどである。
シュール過ぎて、何を描いているのすら分からない。
感情移入を挟む余地すらない。

音楽は弦楽四重奏の不調和音、絃を掻き鳴らす、ギィ―――、ギィ―――、ギュオォォ―――と、耳を劈く高音が館内に鳴り響いた。
それは音楽というより耳障りな騒音だったともいえる。
最初の五分で館内から逃げ出さなければ、一生映像のトラウマになりそうな代物だった。

――果たして、これを映画と呼べるのか?

フランス映画、『天使
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