いつかこころが目覚める朝に/ホロウ・シカエルボク
人間の目撃情報はまるで入ってこなかった
夜間の外出は禁止され
執拗なパトロールが敢行されたが
それでも
僅かな油断を突っつくようにして
被害者の数はひとりずつ増えていった
証拠が残らなかった
時折残される髪の毛以外のものは
なにも
被害者には共通点がなく
無差別連続殺人と呼べるものだったが
そこには驚くほどに意思が感じられなかった
俺たちは何を相手にしているのだ
捜査に当たっている刑事や
警官たちは戦慄した
過去に起こったどんな事件とも違っていた
彼らの存在をケモノビトは常に感じていた
彼らはよくないものだという直感があった
彼らは自分の邪魔をしているのだという
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