いつかこころが目覚める朝に/ホロウ・シカエルボク
出して行った
そう
広く硬い道があった
そこは
暗い時間なら問題はないが
明るいうちにはとても怖いものがすごいスピードで走り抜けるので
その道に出るのはやめておけという教えがあった
あの「怖いもの」
あれが
逃がした獲物が乗って行ったものなのだ
ケモノビトは理解した
あれがあるところにはご馳走があるのだ
ご馳走を食らいに行こう
ケモノビトは森を出ることにした
母親と暮らしたところに戻ってみよう
ケモノビトが森を出る決心をしてからひと月後ほどたった頃
森からさほど遠くない街で
惨たらしい姿となった人間の死体が次々と発見された
彼らはすべて巧妙に隠されていて
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