いつかこころが目覚める朝に/ホロウ・シカエルボク
た「判るかい」ヨシヒロは老婆のように立って穿こうとしたが上手くいかずに仰向けに寝ころんでなんとか穿いた「次はシャツだね」これも老婆が一度着て見せた
ヨシヒロはやはり立っては着ることが出来なかったが壁にもたれて座りながらどうにか着た
「上手いじゃないか」「だけどいつかはあんたも二本足で立たなくちゃね」「にほんあし」「そうだよ」「人間なんだからさ」「にんげん」ヨシヒロはまた寝転がってジャージを穿いた「長いのは難しいだろう」老婆が裾から足を出すのを手伝ってくれた
ヨシヒロはそれから少しずつ人間になるための練習をしていった
初めは二本足で歩くことからだった
すべての動物は歩くことから始め
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