いつかこころが目覚める朝に/ホロウ・シカエルボク
 
伸ばして」「そうよ」
十分ほどしてヨシヒロはきちんと椅子に座ることが出来た
「そうよ」「少しは人間らしくしなくちゃね」
「ニンゲン」「そうよ」
「あんた本当は人間なんだよ」
雌猫がほらねという調子でヨシヒロを見上げた
ヨシヒロの散髪は三時間かかった
老婆は「ああ疲れた」とぼやいてすぐに寝てしまった
ヨシヒロは初めて自分の肌を見た
ご馳走だと思っていたやつによく似ていた
「見違えたわよ」と雌猫が言った
どれどれと
他の猫たちも集まってきた
「器量良しじゃないか」「ガイジンみたいだ」
「服を着なくちゃな」「服ってなんだ」猫たちはヨシヒロを箪笥のある部屋へ連れて行った
「ど
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