いつかこころが目覚める朝に/ホロウ・シカエルボク
彼女はケモノビトになぜか母親を思い出させた
そのわけはすぐに判った
彼女の住処は猫だらけだった
彼らはケモノビトを見て一瞬身を固くしたが
彼の持つ気配からこれは仲間だと判断した
「これはまた変わったやつが来たな」と一匹の年老いた猫が
興味津々で近づいてきて彼のにおいを嗅ぎ
血のにおいを感じて顔をしかめた
「いいかい」と老猫は言った
「ここに居ればあんたがこれまでしてきたようなことはしなくていい」「しちゃいけない」
「このヒトは俺たちを生かしてくれる」「あんたはまともな暮らしというものをしたことがないようだ」「ここに住んであのヒトの言うとおりに生きてみろ」
ケモノビトは相変わら
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