いつかこころが目覚める朝に/ホロウ・シカエルボク
た家の中に入って
そこを自分の住処にすることにした
そこでの暮らしは穏やかだった
ケモノビトはなぜかこれまでにない穏やかな気持ちで
のんびりと日々を暮らした
ある日
まだ日のあるうちにあたりを散策していると
村の外れの建物で一人の老婆にばったりと出会った
「あらまあ」と老婆は言った
ケモノビトは困惑した
いつもなら身を翻して逃げるのだが
この生物にはなにか奇妙に気を引くものがあった
「あんたヒトかい?」老婆はそう話しかけた
ケモノビトは髪の毛の間から彼女をじっと見た
「わかんないかね」老婆はそう言って彼を手招きした
ケモノビトは少し迷ったがついて行った
彼女
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