いつかこころが目覚める朝に/ホロウ・シカエルボク
 
なると
雌猫はそいつに食い物にありつく方法を教え
もう大丈夫だと悟るとか細く鳴いて死んだ
そいつはまだ死を理解しなかったが
日親が母親でなくなったことは分かった
母親だったものが腐り始め強烈な臭いを放ち出したので
そいつは車の中を抜け出した
後部座席にあった破れた毛布を一枚身に纏って
そいつは言葉を知らなかった
そいつは鳴き方を知らなかった
そいつは名前を持たなかった
ただ
生きようとする気持ちだけがあった
食べ物を探すなら森に入るのがいい
母親の教えに従い
森の中に潜り込んで
木の実やある特定の臭いのする草や
時折は新鮮な動物の死骸などを食べて数年を過ごした

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