猫はサワン/MOJO
重くした。
翌日は店の定休日だったが、私は出勤する日より早く起きて、様子を見にエントランスに下りた。管理人室の外壁に耳をあてがうと、猫はやはり鳴いていたが、その弱々しい鳴声から、憔悴しているのは明らかである。さらに、その後ろから、細い、本当にか細い別の鳴声も聴こえてくる。そう、あの猫は、閉じ込められたまま仔を生んだのである。
部屋に戻り、午前九時になるやいなや、管理会社に電話してみると、テープが回っていて、そのテープが示す緊急用の電話番号にかけなおしてみても、同じテープが回っている。
私はベッドに寝ころんでじっとしていた。きっと眉間にはしわが寄っていたに違いない。日が西に傾いた頃、心中
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