こひもともひこさん「民主主義」にカウンターパンチ食らう。/アラガイs
りで飾られた憧れのブルボン様式のテーブル。珈琲を注目した直後に彼女はやって来た。今日もあのお尻のラインが滑るように食い込んだ漆黒のスーツだ。(素敵なテーブルね…)見渡しもせずに口調はそっけなかった。
予感に怯えるとき、携帯は邪魔なツールにもなる。雰囲気を察知したのか、何も尋ねないうちから彼女は切り出してきた。
( ごめんね、明日からまた逢えるようになるわ )
僕はその一言を待っていたのだろうか。首筋から流れる電圧が背中の太い骨を貫いた。同時に水を得た魚のように深い呼吸に安堵した。
( もうすぐ結果が出るね、彼はまだ本部に来てはいないんだろう? 昨日は?) 女の表情には疲労感が漂って
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