ぐしゃぐしゃに食い散らかす ? Meatlocker ?/ホロウ・シカエルボク
いるのかいないのか判らない様子で微動だにしない
そんなやつの背中のようなものを横目で眺めていると
どういうわけか郷愁のようなものに囚われる
俺の名を呼ぶまだ若いころの母親の声や
怖れしか抱くことのなかった父親の拳骨なんかを
そんな思いに囚われているうちに、ふと
天井に張り付いているこいつは
連絡がつかなくなった友達のうちの誰かなんじゃないかと
次第にそういう気がしてくる
久しぶりだな、と話しかけると
びくっ、と震えて
紙きれのようにすすっと天井の角に消えていった
俺の考えたことが正しかったのか
それとも、気付かれていないと思っていただけなのか
ともかくも天井は黙り込んで
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