押し黙る床に吹く風は/ホロウ・シカエルボク
ぼしてきたものたちの微かな感触だけが
少しの間しか咲かない花のようにこびりついていた
あぁ、あれは驚くほどに沢山の陽炎だったのかもしれない
狂い出す気持ちばかりがいつも不思議と正直だったのは
どこかでそんな確信を手にしていたせいかもしれない
夕陽の色が金輪際会えない誰かの背中みたいな瞬間に
死に至る病の成れの果て、アドレスの無い場所で
魂がうねる音の中で、ねえ
理由の判らない哀しみばかりが溢れ出していたんだ、壊れ始めた鎮魂歌みたいに
酷くとっちらかってこんがらがってさ
そこら中でざわめいてる種類の分かれた虫たちみたいに
羽音によく似たリフレインは
膿んだ涙が落ちる音だったの
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