わたしと猫と豆の樹?/まきしむ
ずとこちらに寄ってきます。多分、耳が遠くて聞こえないのです。
「ばあちゃん。悪いけどどいてくれ。俺、走ってないと死ぬから」
「なら、死ねばいい」
目を見た時に悟りました。格が違う、と。 ばあちゃんは私より何倍もの長い人生を送っており、その分だけ器量もまたでかいのでした。私は負けを悟りました。膝まづきたいくらいでした。
「負けたよ、乗せてくれ」
ばあちゃんは何も言わずドアをあけてくれました。その所作は観音のようにしなやかでした。
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