コンビニエンス/アンドリュウ
老人は咳払いを一つして話し始めた
老人はあの店のオーナーだったのだ
ー君はコンビニエンスという言葉の意味を知っているかね
そういって言葉を切り遠くを見るような目つきになった
ーわしはこの年になるまでがむしゃらにお金を稼いできた 時には人の道に反する事もした
金もうけには往々にしてそういう面があるからな
金儲けに夢中で妻が病気になった時も人任せにして充分看病してやれなんだ
ー妻はわしと違って金儲けには無縁の人間じゃった
正直わしは妻を馬鹿にしとったかもしれん この役立たずが〜とな
じゃが妻が死んでみて初めて気がついたんじゃ わしは見えないところで妻に支えられておった
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