可能性の地獄/yamadahifumi
似ていく。そんな事で他人と差をつける事などできはしない。なぜなら、雑誌で『他人と差をつけるためのファッション』などが紹介されていても、その雑誌を読んでいる人間はゴマンといるのだ。ジョークもここまでくると滑稽である。
今の僕らは皆、それぞれに根本的な同質性、交換可能性を感じている。そしてそれゆえに、僕達は表面だけを取り繕おうとする。そしてそれにより、僕らはますます互いに区別のつかない存在へと転化していく。リア充、非リア充。どちらも、自分自身になる事はできずに、虚しく時を過ごす事となる。他人に愛されたいと思う人間は、他人が自分を愛する事は決してないという事を知らなければならない。世界に溢れ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)