可能性の地獄/yamadahifumi
 
に思う。


 そしてこの『可能性の地獄』は、社会が高度化し、人間が普遍化するに従ってますます大きな問題となってきている。例えば、家族というのももはや、交換可能な領域に突入してきた。かつては親にとって子供は、どんなにその子供が愚かでも交換不可能なものだったが、最近ではそうだとは言いづらくなってきている。例えば、子供が欲しいが父親は必要ないと考えている独身女性が精子バンクに行き、そして精子を一つチョイスして、そうして子供を作る。してみると、この子供は何だろう。…そして、精子にも等級があり、例えば、法政大出身よりも東大出身の方が価値が高い。こういう状況を考えると、この子供はその生誕の最初から、何
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